中華料理の席でよく見かける「紹興酒」。深みのある琥珀色と独特の熟成香、そしてトロリとした口当たりが特徴的な中国伝統の醸造酒です。しかし、いざ飲もうとすると「アルコール度数はどれくらい?」「日本酒とどう違う?」「体に良いの?悪いの?」と疑問が湧く方も多いのではないでしょうか。
この記事では、紹興酒のアルコール度数を軸に、日本酒やワインとの違い、健康面での注意点、そして中国伝統の薬膳としての役割まで、詳しくご紹介します。
目次
1. 紹興酒のアルコール度数は?基本情報をチェック
紹興酒のアルコール度数は 一般的に14〜17%程度。これは日本酒とほぼ同じ、またはやや高めのレベルです。
製品によって多少の差はありますが、以下のような傾向があります。
| 銘柄名 | アルコール度数 | 特徴 |
|---|---|---|
| 古越龍山 | 15%前後 | 熟成感とバランスの取れた味わい |
| 塔牌 花彫酒 | 16% | コクが強く、温めて楽しむタイプ |
| 会稽山 陳年 | 17% | 比較的マイルドで飲みやすい |
同じ度数でも、日本酒と比較して「紹興酒のほうが強く感じる」と言われるのは、熟成由来の香味や味の重厚感が関係しています。特に紹興酒は長期間にわたって熟成されるため、アルコール感に加え、味や香りの層が厚く感じられるのです。
2. 日本酒・ワイン・焼酎との比較|どんな違いがある?
紹興酒のアルコール度数や飲み口を把握するには、他のお酒との比較が効果的です。
| 酒類 | Alc度数 | 原料 | 製法 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| 紹興酒 | 14〜17% | もち米・麦麹 | 醸造+長期熟成 | 黄酒の代表格。 複雑な甘味と熟成香が特徴 |
| 日本酒 | 13〜16% | 米・米麹 | 醸造 | 淡麗〜濃醇まで幅広い味わい。 冷酒から熱燗まで対応可 |
| ワイン | 11〜15% | ぶどう | 醸造 | タンニンや酸味が味の骨格を形成 |
| 焼酎 | 20〜25% | 米・麦・芋など | 蒸留 | アルコール度数が高い。 糖質ゼロのものも多い |
紹興酒は「醸造酒」に分類され、日本酒やワインと同じ仲間ですが、紅麹による発酵や、最低3年以上の熟成を経る製法が、独自のコクと香りを生み出します。焼酎などの蒸留酒よりはアルコール感は穏やかですが、風味が濃厚なため、初めての方には「重たい」と感じられるかもしれません。
3. なぜ「強く感じる」?味覚の錯覚と熟成の深み
実際のアルコール度数以上に「紹興酒=強い酒」という印象を持たれる理由には、次のような要素があります:
● 熟成香のインパクト
紹興酒は最低でも3年以上、長いものでは10年を超える熟成が施されます。この熟成によって、ナッツ、カラメル、干し柿のような香りが生まれ、口の中で豊かな香味が広がります。
● 甘味と濃厚なボディ感
もち米を原料とし、糖分が比較的多く残るため、とろりとした舌触りがあり、飲みごたえを重く感じる傾向があります。
● 飲用シーン(温めて飲む)
紹興酒は常温または燗酒で楽しまれることが多いため、アルコールが体にスムーズに浸透しやすく、「酔いやすい」と感じることが多いのです。
実際にはアルコール度数自体は日本酒と変わらず、むしろ味の強さが「酔い」を連想させているにすぎません。
4. 薬膳としての紹興酒|“飲む漢方”としての歴史と役割
中国では、紹興酒は古くから単なる嗜好品ではなく、身体を整える「温性の薬酒」として重宝されてきました。
● 体を温め、血行を促す
紹興酒には体を内側から温める性質があるとされ、冷え性、月経不順、慢性疲労などの改善に用いられることもあります。生姜やナツメなどと一緒に煮出して飲む「薬膳酒」は、寒い季節の養生法として古来から親しまれています。
● 漢方素材との相性が良い
紹興酒はナツメ、クコの実、高麗人参などの漢方素材と一緒に漬け込むことで、成分の浸出を促進し、相乗効果が得られるとされます。実際、中国の薬膳料理や家庭療法では「紹興酒漬け」が多く見られます。
● 胃腸を整え、消化を助ける
紹興酒には消化を促す作用があるとされ、脂っこい中華料理との相性は理にかなっています。特に燗で飲むことで消化機能が活性化しやすいといわれています。
5. 健康面での注意点|飲みすぎには要注意
紹興酒は漢方由来の製法や薬膳のイメージから「体によさそう」と捉えられることもありますが、やはりアルコール飲料です。以下の点に注意しましょう。
▼ 糖質・カロリーが高め
紹興酒は原料にもち米を使用し、さらに熟成によって糖分が濃縮されているため、日本酒やワインと比べても糖質・カロリーが高い傾向にあります。糖尿病やダイエット中の方は飲用量を控えることが重要です。
▼ アルコール分の蓄積に注意
アルコール度数は中程度ながら、熟成による飲みごたえからついつい進んでしまう危険性があります。体質や肝機能に不安がある方は、日常的な多飲を避けましょう。
▼ 食塩の取りすぎにも注意
紹興酒とともに食べる中華料理(特に醤油や豆鼓、XO醤系の味付け)は塩分が高いことが多いため、おつまみとのバランスにも気を配る必要があります。
まとめ|紹興酒は「アルコール度数以上に奥深い酒」
紹興酒はアルコール度数だけを見れば日本酒やワインと大きな差はありません。しかし、その熟成香・重厚なボディ感・文化的背景によって、まるで別次元の酒のように感じられることがあります。
- 実際の度数は14〜17%
- 熟成がもたらす味の深みと「強さ」の錯覚
- 健康に良い面もあるが、糖質やカロリーには要注意
- 中国では薬膳としても使われてきた文化的背景
紹興酒は一杯で身体と心を温めてくれる“滋味深い”お酒。中華料理とともに、あるいは薬膳的なアプローチで、生活の中に取り入れてみてはいかがでしょうか?

◾️この記事を書いた人
SUZU
国際唎酒師の資格を持つ日本酒好きライター。日本酒はもちろん、ひれ酒をこよなく愛しています。
取得機関:https://ssi-sake.jp/
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