
日本酒ファンの間で毎年注目されるのが「全国新酒鑑評会」。
この大会は、全国の酒蔵がその年に造った新酒を持ち寄り、香りや味わい、造りの技術を競い合う日本最大規模の日本酒コンテストです。
「金賞受賞酒」といえば、まさにこの鑑評会の栄誉ある評価を受けた日本酒のこと。
本記事では、「全国新酒鑑評会」の歴史や審査方法、受賞の意義について、わかりやすくご紹介します。
目次
全国新酒鑑評会とは?|年に一度の“日本酒の品評会”
全国新酒鑑評会(ぜんこくしんしゅかんぴょうかい)は、明治44年(1911年)に始まった日本酒の公的コンテストで、現在は独立行政法人「酒類総合研究所」と「日本酒造組合中央会」が共催しています。
この鑑評会の特徴は以下のとおりです
- 対象は“その年に造られた新酒”のみ
- 対象は吟醸酒の原酒であり、酸度0.8以上のものとする
- 審査は官能評価(テイスティング)と分析評価の二段構え
つまり、「全国新酒鑑評会」は、酒蔵の技術力を総合的に評価するための“公式の場”なのです。
どんな酒が出品されるの?
出品されるのは、各蔵がこの大会のために醸した、いわば“作品”としての吟醸酒です。
一般に販売されている酒とは異なる、鑑評会専用仕込みの“勝負酒”が並びます。
この酒は、華やかな香り(吟醸香)や、透明感ある味わい、美しい外観などが厳しくチェックされます。
とくに香りの評価が重要視されており、酢酸イソアミルやカプロン酸エチルといった吟醸香成分のバランスや強さも審査対象です。
審査の流れ|科学と人の舌で選ばれる
審査は2段階で行われます。
1. 一次審査(予審)
- 地域ごとに実施
- 複数の専門官による官能評価(外観・香り・味など)
2. 二次審査(決審)
- 一次審査を通過した出品酒を、専門パネルで再評価
- 数値的な成分分析も併用(アルコール度数・酸度・アミノ酸度など)
その結果、「入賞酒」「金賞受賞酒」が選ばれます。
金賞に選ばれるのは、全出品酒の約30%程度。非常にハードルの高い名誉です。
「金賞受賞酒」=品質と技術の証

全国新酒鑑評会で金賞を受賞することは、その蔵の技術力・品質の証明になります。
特に、地方の中小酒蔵にとっては、知名度や信頼を得る大きなチャンス。
近年では、受賞歴をラベルに明記する酒蔵も多く、消費者にとっても日本酒選びの参考指標となっています。
また、金賞受賞歴が多い蔵は「名門酒蔵」として評価され、業界内でも一目置かれる存在になります。
過去の受賞蔵・注目銘柄の例

例えば、以下のような有名銘柄は、全国新酒鑑評会でたびたび金賞を獲得しています
- 十四代(高木酒造/山形県)
- 獺祭(旭酒造/山口県)
- 東洋美人(澄川酒造場/山口県)
- 南部美人(南部美人/岩手県)
- 醸し人九平次(萬乗醸造/愛知県)
※出品はあくまで蔵の判断によるため、毎年すべての銘柄が出るわけではありません。
一般の人は参加できる?|展示会や特別販売も

審査自体は非公開ですが、結果発表後には「受賞酒展示会」や「金賞酒の限定販売」などが行われることもあります。
また、各地の酒イベントで「金賞受賞酒お披露目会」が開催されることもあるので、チェックしてみると面白いですよ。
まとめ|日本酒の“今”を知るなら、まず鑑評会をチェック!
全国新酒鑑評会は、単なるコンテストではありません。
これは、日本酒の現在地と、蔵元たちの技術の粋が集う舞台です。
「今、どんな酒が注目されているのか?」
「どの酒蔵が高く評価されているのか?」
そういった情報を知るためにも、金賞受賞蔵や出品状況を追うのは、日本酒ファンにとって欠かせない楽しみ方のひとつです。
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