
日本酒を味わうとき、欠かせない存在が「おちょこ」。小さな器ながら、その形や素材によって日本酒の風味や香りが変化するため、実はとても奥深いアイテムです。この記事では、おちょこの定義や歴史、魅力、そして選び方までを詳しく解説します。
目次
おちょことは?その定義と基本的な特徴

おちょことは、日本酒を飲む際に使われる小さな器のことです。
一般的には30ml〜90ml程度の容量を持ち、手のひらに収まるサイズ感が特徴です。
「猪口(ちょく)」という漢字が当てられ、もともとは「ちょく」と読まれていましたが、現在では親しみを込めて「おちょこ」と呼ばれるのが一般的です。
おちょこの形状はさまざまで、丸みを帯びた形や筒型、広がった口の形など、日本酒の種類や飲み方に応じて選ばれます。
おちょこの歴史:江戸時代から現代へ

おちょこの起源は室町時代にまで遡るとも言われていますが、本格的に広まったのは江戸時代。庶民の間で日本酒文化が浸透していくなかで、使い勝手の良い小さな器として親しまれるようになりました。
江戸時代には陶磁器の技術が発展し、各地で特徴的なおちょこが生産されるようになります。たとえば、美濃焼や有田焼など、地域ごとのデザインが楽しめるのもおちょこの魅力のひとつです。
明治以降は、ガラス製や金属製のおちょこも登場し、現代では素材や形状のバリエーションがさらに広がっています。
おちょこの魅力とは?
1. 酒の風味を引き立てる
おちょこの素材や形によって、香りの立ち方や舌への流れ方が変化します。たとえば、広口のおちょこは香りを楽しみたい吟醸酒に最適。一方で、深さのある細口のおちょこは、コクのある純米酒に向いています。
2. 飲む量を調整しやすい
一口サイズの容量だからこそ、ゆっくり味わいながら飲めるのがおちょこの良さ。酔いすぎを防ぎつつ、日本酒の温度変化や味の違いを楽しむことができます。
3. 美しさと個性
陶器、磁器、ガラス、木製など、多彩な素材と美しいデザインは、おちょこをコレクションしたくなるほど魅力的。季節やシーンに合わせて使い分ける楽しさもあります。
自分に合ったおちょこの選び方
1. 日本酒のタイプで選ぶ
⚫︎吟醸酒・大吟醸酒:香りを楽しむために、広がりのあるガラス製がおすすめ。

⚫︎純米酒・本醸造酒:しっかりとした味わいを楽しむなら、陶器や磁器のおちょこが向いています。

2. 飲み方で選ぶ
⚫︎冷酒向き:ガラス製のおちょこは清涼感があり、夏にぴったり。

⚫︎燗酒向き:陶器や木製のおちょこは保温性が高く、温かいお酒に最適です。

3. 手に持ったときの感触
実際に手に取ってみて、持ちやすさや口当たりを確かめることも大切。お気に入りの1点を見つける楽しみがあります。
まとめ:おちょこは日本酒文化の一部
おちょこはただの小さな器ではなく、日本酒の魅力を引き出すための大切な道具です。その素材や形、歴史的背景までを知ることで、日本酒の世界がさらに深く、豊かに感じられるはずです。
ぜひ、あなたにぴったりのおちょこを見つけて、特別な一杯を味わってみてください。

◾️この記事を書いた人
SUZU
国際唎酒師の資格を持つ日本酒好きライター。日本酒はもちろん、ひれ酒をこよなく愛しています。
取得機関:https://ssi-sake.jp/
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