目次
1. はじめに|日本酒の“グラスの量”が気になる理由
日本酒は、飲み方や器の選び方ひとつで味わいが大きく変わるお酒です。居酒屋で「一合」と言われてもピンとこない方や、「おちょこって何mlくらい?」と疑問を持ったことのある方も多いのではないでしょうか。
本記事では、日本酒を注ぐ器の容量と種類を徹底解説し、歴史や用途、そして健康的に楽しむためのポイントまでご紹介します。
2. 基本の単位|一合って何ml?なぜ180mlなの?
「一合(いちごう)」は、尺貫法に基づく日本の体積単位。尺貫法(しゃっかんほう)は、古代中国から伝わり、日本で長く使われてきた伝統的な度量衡(長さ・重さ・体積の単位)です。
現在では「メートル法」が法定単位とされていますが、日本酒や不動産、建築の現場などでは今でも尺貫法の名残が多く見られます。
たとえば…
- 長さ → 「一尺」「一寸」
- 重さ → 「一貫」「一匁(もんめ)」
- 容積 → 「一升」「一合」など
このうち、容積(体積)に関する単位は、日本酒文化と特に深く関わっています。
一升(いっしょう)=1800mlと定められており、その10分の1が一合=180mlです。この単位は江戸時代から使われており、現在でも日本酒の基本的な提供単位として広く用いられています。
たとえば、
- 二合=360ml
- 五合瓶=900ml
- 一升瓶=1800ml
尺貫法の体積単位|「合」「升」「斗」「石」
| 単位 | 読み | 容量(ml換算) | 備考 |
|---|---|---|---|
| 一合 | いちごう | 180ml | 日本酒の基本単位 |
| 一升 | いっしょう | 1,800ml | 一升瓶の容量 |
| 一斗 | いっと | 18,000ml | 酒屋での業務用単位 |
| 一石 | いっこく | 180,000ml | 江戸時代の年貢単位、米1石=人1年分の食料 |
つまり、「1合(180ml) × 10 = 1升(1800ml)」という換算が、日本酒の「一合」「一升瓶」などに今も生きているのです。
3. 酒器別|日本酒グラスの種類と容量
(1) おちょこ|約30〜60ml
「おちょこ」は少量ずつ飲むための酒器。陶器や磁器製が一般的で、温度変化に敏感な日本酒を楽しむには最適です。利き酒や乾杯の際にもよく使われ、手に収まるサイズ感で可愛らしさも魅力です。
(2) ぐい呑み|約60〜120ml
おちょこより一回り大きく、自宅での晩酌や少し多めに楽しみたいときに最適。手になじむ大きさと、陶芸家による個性的な作品も多く、コレクション性の高い酒器でもあります。
(3) ワイングラス型|注ぐ量は90~120ml程度が適量
吟醸酒や純米吟醸酒など、香りが豊かな日本酒を楽しむ際におすすめ。グラスの中で香りが開くため、まるでワインのようにアロマを堪能できます。海外の日本酒イベントでも主流の酒器となっています。
(4) 平盃(ひらさかずき)|約30〜50ml
口が広く、平らな形状の酒器で、儀式や祝いの場で使用されることが多いです。奈良時代から続く伝統的な形で、香りよりも“見た目の美しさ”や“文化的意味合い”が重視されます。
(5) 升(ます)|180ml(1合)
木製の四角い容器で、もともとは米や酒の計量器でした。神事や祝宴でよく使われ、「升=増す」の語呂合わせから縁起物として重宝されます。檜(ひのき)や杉の香りが酒にほんのり移るのも特徴。
(6)もっきり|180ml以上
グラスを升に入れてなみなみと注ぎ、升にまでこぼすスタイル。見た目のインパクトと「たっぷりサービスします」という粋な気配りを感じさせる提供法です。地域によっては受け皿が陶器だったりもします。
5. 「もっきり」や「升」の由来を知る
もっきりとは?
「盛り切り(もりきり)」が語源。もともとは量り売りの文化から来ており、注ぎきるスタイル=もっきり。現代では「表面張力ギリギリまで注ぐ」サービス精神の象徴になっています。
升(ます)の由来と歴史
升は平安時代以前から計量器として存在し、江戸時代には酒の単位として定着。祝い事での「一升=一生」、「枡=増す」といった語呂合わせから、縁起物としての地位も築かれました。
4. 健康的に飲むには?|日本酒の適量目安
日本酒のアルコール度数は13〜16%が一般的。厚生労働省では「1日あたりの適正飲酒量」を純アルコール20g以下としています。
これは日本酒約180ml(1合)に相当。
つまり、ぐい呑み2杯〜もっきり1杯程度が健康的な目安です。
さらに、
- 和らぎ水(チェイサー)を併用する
- 空腹時は避ける
- 飲みすぎた翌日は肝臓を休める
といった工夫も取り入れましょう。
まとめ|容量を知ると、酒器選びがもっと楽しくなる
日本酒は「量」と「器」によって、香りや味の印象が大きく変わります。自分にぴったりのグラスを選ぶことで、より美味しく、より豊かな時間を楽しむことができます。

◾️この記事を書いた人
SUZU
国際唎酒師と薬剤師の資格を持つ日本酒好きライター。日本酒はもちろん、ひれ酒をこよなく愛しています。
取得機関:https://ssi-sake.jp/
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