
目次
1. 古酒の読み方は「こしゅ」
日本酒ラベルやお店のメニューで「古酒」という文字を見かけたことはありませんか?
この「古酒」、正しい読み方は 「こしゅ」 です。
時々「ふるざけ」と読む方もいますが、日本酒における正式な読み方は「こしゅ」が一般的です。

沖縄で古酒というのは、泡盛の古酒を指す言葉で「クース」と呼びます。3年以上熟成させたものを指します。泡盛の古酒は、甕(かめ)や瓶で寝かせることで、さらに香りや味わいが深まります。

この記事では日本酒の古酒について解説して行きます。
2. 古酒とはどんな日本酒?
「古酒」とは、長期間熟成させた日本酒のことを指します。
日本酒の古酒の普及・技術向上を主目的に設立された「長期熟成酒研究会」では、「満3年以上酒蔵で熟成させた、糖類添加酒を除く清酒」と定義されています。
熟成することで、色味は琥珀色や黄金色に変わり、味わいもまろやかで深みが出てきます。ウイスキーやブランデー、紹興酒のような熟成感を楽しめるのが魅力です。
3. 古酒は3タイプに分類される
古酒は、熟成期間や方法、原料酒の種類によって、味わいや香りが大きく変化します。
大きく分けて、濃熟タイプ・中間タイプ・淡熟タイプの3タイプに分類できます。
①濃熟タイプ(のうじゅく)
- 使用酒:本醸造酒、純米酒
- 熟成温度:常温熟成
- 味わいの特徴:
熟成によって色は琥珀色に変わり、香ばしい香りや濃厚な甘味、酸味、旨味が生まれます。まるでシェリー酒や紹興酒のような深みがあり、長期熟成による「重厚なコク」と「風格」が魅力です。
📌 ポイント:日本酒のイメージを覆すような、個性的でインパクトのある味わい。
🍽️合う料理:脂分の多い料理やチョコレート・ブルーチーズなど濃厚な味わいの料理
②中間タイプ
- 使用酒:本醸造酒、純米酒、吟醸酒、大吟醸酒
- 熟成温度:低温熟成と常温熟成の併用
- 味わいの特徴:
熟成中に温度を変化させることで、重すぎず軽すぎない、バランスの取れた味わいを引き出します。華やかさと熟成のコクの両方を持ち合わせ、食中酒としてもおすすめです。
📌 ポイント:濃熟タイプと淡熟タイプの“いいとこ取り”。
🍽️合う料理:酢豚、しゃぶしゃぶ、チョコレートなど、ほどよい甘味・酸味・苦味のある食べもの
③淡熟タイプ(たんじゅく)
- 使用酒:吟醸酒、大吟醸酒
- 熟成温度:低温熟成
- 味わいの特徴:
フルーティな吟醸香や軽やかさを残しつつ、時間の経過によりほのかな苦味や熟成香が加わり、奥行きある味わいに。新酒の鮮烈さとは違った「まろやかで品のある熟成酒」が楽しめます。
📌 ポイント:古酒初心者にも受け入れられやすい、やさしい熟成。
🍽️合う料理:フランス料理や、旨みの強い生ハムやチーズ
まとめ
タイプ | 使用される酒 | 熟成温度 | 味の特徴 |
---|---|---|---|
濃熟タイプ | 本醸造酒、純米酒 | 常温 | 重厚で香ばしく、個性派の深み |
中間タイプ | 吟醸含む各種 | 常温+低温併用 | コクと華やかさのバランス型 |
淡熟タイプ | 吟醸酒、大吟醸酒 | 低温 | 繊細かつまろやか、優しい熟成味 |
4. おすすめの古酒3選
⚫︎華鳩 貴醸酒8年貯蔵

水の代わりに酒で造る酒、貴醸酒(きじょうしゅ)を8年以上熟成させたものです。
貴醸酒は水の代わりに酒で造る、濃厚で甘いお酒です。
数少ない古酒マニアの方に大好評です。可愛らしい見た目と濃厚で甘い味わいから女性にも人気のお酒です。
バニラアイスにかけて大人のデザートとして楽しむのもおすすめです。
お試しにぴったりな180mlサイズのため、初めての方にもおすすめです。
受賞歴
- 世界最大のワイン品評会IWC SAKE古酒の部、通算14度の金賞受賞
(2008、2010、2011、2012、2013、2014、2015、2016、2017、2019、2020、2021、2023、2024年) - KuraMaster金賞受賞
⚫︎一ノ蔵 Madena(マデナ)

世界3大酒精強化ワインのひとつ、マデイラワインの製法「酒精強化」と「加温熟成」を応用した全く新しい香味の日本酒。
はちみつのような甘い、柔らかな甘味があり幸福感に包まれるような味わいです。
ボトルのデザインもおしゃれでとっても可愛いので古酒好きな方へのプレゼントとしてもおすすめです。
受賞歴
- KURAMASTER2025 優秀賞&「古酒部門」プラチナ賞
- インターナショナルワインチャレンジ2025(IWC)「古酒の部」ゴールドメダル受賞
- ワイングラスでおいしい日本酒アワード2024「プレミアム熟成酒部門」最高金賞
- KURAMASTER2023「古酒部門」金賞
- ミラノ酒チャレンジ2023「スペシャル部門(古酒)」ブロンズ
- フェミナリーズ世界ワインコンクール2021「日本酒熟成酒部門」金賞
- 全国商工会議所・全国観光土産品連盟主催「第57回全国推奨観光土産品審査会」
国土交通大臣賞受賞(グローバル部門最高賞) - 仙台市産業振興事業団主催「第3回 新東北みやげコンテスト」優秀賞
⚫︎達磨正宗 二十年古酒

“古酒と言えば「達磨正宗」”と言われるほど古酒を主力商品としている白木恒助商店が造る20年古酒。
二十年以上熟成させた4種類のお酒をブレンドしており、まろやかな甘さでありながら、しっかりとした芯を持った味わい。
「欠点がみつからない」とソムリエに言わしめた銘柄です。
香りは黒糖・カラメル・メープルシロップ等、複雑で深い香り。
冷やしすぎず、温めすぎず、常温か、もしくはぬる燗がおすすめ。
50mlのボトルもあるため、試しで買うのもおすすめです。
受賞歴
- スペイン国際酒類コンクールCINVE 2023古酒部門金賞
- ブリュッセル国際コンクール2018熟成古酒の部プラチナ賞
5. よくある質問(FAQ)
Q. 古酒はどこで買えますか?
A. 大型の酒販店やオンラインショップ、日本酒専門店で購入できます。「長期熟成酒」や「ヴィンテージ酒」で検索すると見つかりやすいです。
Q. 古酒は古くなるほど美味しいの?
A. 一概には言えません。酒質や保存環境により、熟成によって美味しくなるものもあれば、味が崩れることもあります。蔵元が管理した熟成酒がおすすめです。
Q. 普通の日本酒を家で寝かせれば古酒になりますか?
A. 難しいです。熟成を前提にした酒とそうでない酒では劣化のリスクが違います。家庭での保存は味が落ちる可能性が高いです。
まとめ
「古酒(こしゅ)」は、日本酒の新たな魅力を味わえる特別な存在です。
濃厚で奥深い味わい、香ばしい香り、そして熟成がもたらす余韻。
ラベルに「古酒」と書かれた一杯を見つけたら、ぜひ試してみてください。

◾️この記事を書いた人
SUZU
国際唎酒師の資格を持つ日本酒好きライター。日本酒はもちろん、ひれ酒をこよなく愛しています。
取得機関:https://ssi-sake.jp/
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