
「日本酒の辛口と甘口って、何が違うの?」「自分にはどちらが合っているのか知りたい」——そんな方のために、日本酒の甘辛の違いについて、唎酒師が丁寧に解説します。
味の特徴から、ラベルの見方、初心者におすすめの銘柄まで、これを読めば自分にぴったりの一本が見つかります。
日本酒の「辛口」と「甘口」ってどう違うの?
日本酒の「辛口」「甘口」は、「日本酒度」という指標で測られます。
日本酒度とは、お酒の比重を測る指標です。
日本酒に含まれる糖分が多いと、比重が1より大きくなります。
つまり、水より重いためマイナス(-)=甘口となり、軽い場合はプラス(+)=辛口と判断します
- マイナス(-)=甘口
糖分が多いと、重さは日本酒>水となるため、水と日本酒時計が浮く。
日本酒時計はマイナスになります。
図の真ん中の絵が該当。 - プラス(+)=辛口
糖分が少ないと、重さは日本酒<水となるため、水と日本酒時計はそのままで日本酒分がプラスになる。
図の右側の絵が該当。

日本酒度の違いによって、超辛口から超甘口まで分類されます。
日本酒度 | 味の傾向 |
---|---|
+10以上 | 超辛口 |
+5 ~ +10 | 辛口 |
+3 ~ +5 | やや辛口 |
0 ~ +3 | 中口 |
-3 ~ 0 | やや甘口 |
-10 ~ -3 | 甘口 |
-10以下 | 超甘口 |
日本酒度と酸度の関係
日本酒度はお酒の比重を表しているものであり、日本酒度が「高い」「低い」のみでは味の傾向を表現しにくいことがあります。
そこで、味の傾向を知るには「酸度」も大切です。
酸度とは、お酒の「酸味の強さ」を表す指標です。
日本酒に含まれる乳酸や酒石酸などの有機酸の量や種類によって決まります。
一般的には、酸度が1.4以上なら酸味がしっかり感じられ、1.0以下ならやさしい、すっきりした口当たりになることが多いです。
酸度の違いよる味の傾向や特徴
酸度 | 特徴 |
---|---|
1.0〜1.3 | 軽快、すっきり系。 淡麗な味わい |
1.4〜1.6 | 標準的でバランスの良いタイプ |
1.7以上 | しっかりとした酸味。 コクやボディ感が強くなる |
そのため、日本酒度(甘辛度)と酸度の組み合わせによって、同じ「+5の辛口」でも印象が大きく変わります。
例:
- 日本酒度+5 × 酸度1.0 → スッキリ辛口
- 日本酒度+5 × 酸度1.8 → コクのある辛口
日本酒度と酸度による分類
日本酒は日本酒度と酸度の関係によって、大きく4つの分類に分けられます。
味のタイプ | 日本酒度 (甘辛) | 酸度 (軽重) | 特徴 |
---|---|---|---|
濃醇辛口 | 高い(+) | 高い | 酸味と辛さが強く、キレがある味わい |
濃醇甘口 | 低い(−) | 高い | 酸味と甘さが強く、コクがある味わい |
淡麗辛口 | 高い(+) | 低い | すっきりとした辛口、飲みやすい |
淡麗甘口 | 低い(−) | 低い | まろやかでやさしい甘さのある味わい |

まとめ:味の傾向は日本酒度と酸度が大切
このように、日本酒度と酸度は、日本酒の味わいを左右する大切な指標です。
ただし、これらはあくまで目安にすぎません。実際に飲んでみないと、そのお酒が「甘く感じる」か「辛く感じる」かは分からないことも多いです。
たとえば、濃醇辛口と分類されているお酒でも、口に含むと米の旨味や深みを強く感じる場合もあります。
また、飲む温度や酒器、飲む人の味覚や気分によっても、印象は大きく変わります。
自分にぴったりの日本酒を見つけるには、いろいろなタイプのお酒を試してみるのが一番の近道です。

◾️この記事を書いた人
SUZU
国際唎酒師の資格を持つ日本酒好きライター。日本酒はもちろん、ひれ酒をこよなく愛しています。
こちらの記事もおすすめ