
日本酒の種類や違いを徹底解説。純米酒や大吟醸などの分類から、味わいの傾向まで唎酒師がわかりやすく解説。選び方のコツやおすすめも紹介します。
目次
日本酒の種類は「原料」と「精米歩合」がカギ
日本酒は、原料や製法によって大きく分類されます。その中でも「特定名称酒(とくていめいしょうしゅ)」は、法律で定められた品質基準を満たした日本酒のことを指します。
全体の日本酒のうち、約3割がこの「特定名称酒」にあたるとされており、ラベルにも明記されるため、購入時の重要な判断材料になります。
「特定名称酒」は使用原料と精米歩合の違いによって、細かく分けられます。
▷ 使用原料の違い
日本酒の主な原料は「米・米こうじ・水」ですが、そこに醸造アルコールが加わる場合があります。
醸造アルコールが加えられるか否かで2つに分けられます。

- 純米系(純米酒・純米吟醸・純米大吟醸)
→ 醸造アルコールを加えず、米・米こうじ・水だけで造る
→ 米の旨みをしっかり味わえる - 醸造アルコール添加系(本醸造・吟醸・大吟醸)
→ 醸造アルコールを加える
→ 軽快でキレのある味わい、香りを引き出す効果も
▷ 精米歩合の違い

精米歩合とは、米を何%まで削ったかを示す数字です。数字が小さいほど、米を多く削っている=雑味が少なく、香りが繊細になります。
たとえば「精米歩合60%」であれば、米を40%削って、残りの60%を使って日本酒を造っているという意味です。
「使用原料」と「精米歩合」によって、以下に分類されます。
– 特定名称酒の分類 –
精米歩合\原料 | 米・米こうじ・水 (純米系) | 米・米こうじ・醸造アルコール (本醸造系) |
---|---|---|
50%以下 | 純米大吟醸酒 (じゅんまいだいぎんじょうしゅ) | 大吟醸酒 (だいぎんじょうしゅ) |
60%以下 | 純米吟醸酒 (じゅんまいぎんじょうしゅ) 特別純米酒※ (とくべつじゅんまいしゅ) | 吟醸酒 (ぎんじょうしゅ) 特別本醸造酒※ (とくべつほんじょうぞうしゅ) |
規定なし (主に70%以下) | 純米酒 (じゅんまいしゅ) | 本醸造酒 (ほんじょうぞうしゅ) |
※特別純米酒・特別本醸造酒
国税庁が定めでは、「精米歩合は60%以下又は特別な製造方法(要説明表示)」とされています。
日本酒の違い:香りや味わい
■ 純米大吟醸・大吟醸(精米歩合50%以下)
■ 純米吟醸・吟醸(精米歩合60%以下)
- 香り:上品で華やか
- 味わい:なめらかでバランスが良い
- 飲み方:冷酒や常温が合う
■ 特別純米・特別本醸造(精米歩合60%以下、または特別な製法)
- 香り:控えめで穏やか
- 味わい:米の旨みを程よく感じられる
- 飲み方:食中酒として最適
■ 純米酒・本醸造(精米歩合70%前後)
- 香り:落ち着いた香り
- 味わい:しっかりとしたコクや酸味
- 飲み方:熱燗にも合う、日常向け
日本酒の違い:特徴まとめ
系統 | 味の重さ (コク・旨み) | 香りの華やかさ | 飲みやすさ | 特徴まとめ |
---|---|---|---|---|
純米系 | ★★★★☆ (しっかり) | ★★☆☆☆ (控えめ) | ★★★☆☆ (ほどほど) | 米の旨みをしっかり楽しめる。料理との相性◎ |
本醸造系 | ★★★☆☆ (バランス型) | ★★★☆☆ (やや華やか) | ★★★★☆ (やや飲みやすい) | 軽快でスッと飲みやすく、食中・晩酌どちらにも◎ |
吟醸系 | ★★☆☆☆ (軽やか) | ★★★★★ (華やか) | ★★★★★ (非常に飲みやすい) | フルーティーで華やか。日本酒初心者やギフトにも最適 |
よくある質問(FAQ)
Q. 純米と本醸造の違いは?
A. 本醸造には風味を調整するために醸造アルコールが加えられます。純米は米と水のみで造られます。
Q. 精米歩合が小さいほど美味しいの?
A. 風味は繊細になりますが、好み次第。米の旨味を味わいたい人には高い精米歩合の純米酒も◎。
まとめ:ラベルの「吟醸」「純米」で選び方が変わる
日本酒選びで迷ったら、まずはラベルに書かれた「純米」「吟醸」「本醸造」をチェックしてみてください。それぞれに原料や製法の違いがあり、味わいにも個性があります。
どんな日本酒が自分に合うかを探す第一歩として、「原料」と「精米歩合」の視点をぜひ取り入れてみましょう。

◾️この記事を書いた人
SUZU
国際唎酒師の資格を持つ日本酒好きライター。日本酒はもちろん、ひれ酒をこよなく愛しています。
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