
目次
はじめに|日本酒の「種類」とは?
日本酒を選ぶとき、「純米? 吟醸?」「にごり酒?」「精米歩合って何?」と戸惑ったことはありませんか?
日本酒は、味のタイプ・製法・原料・ラベル表記など、さまざまな観点から“種類”が分類されています。
この記事では、日本酒の種類について5つの視点からわかりやすく解説し、
初心者の方でも「自分に合った日本酒」を見つけられるようナビゲートします。
① 味や香りの傾向で分ける「タイプ別分類」

日本酒の“味の違い”をもっとも直感的に感じられるのが、「タイプ別分類」です。
これは香りと味わいの特徴で、日本酒を以下の4つに分類する方法です。
タイプ別 | 特徴 | 該当する酒の例 |
---|---|---|
薫酒(くんしゅ) | 華やかでフルーティーな香り。 軽やかで飲みやすい。 | 吟醸酒、大吟醸酒など |
醇酒(じゅんしゅ) | 米の旨味とコクがしっかり。 厚みのある味。 | 純米酒、山廃、熟成純米など |
熟酒(じゅくしゅ) | 時間をかけて熟成された、 濃厚で複雑な味わい。 | 古酒、貴醸酒 |
爽酒(そうしゅ) | 軽快でさっぱり。 冷やして飲むと美味しい。 | 生酒、淡麗辛口の本醸造など |
この分類を知っておくと、「今日はすっきり爽やかに」「贅沢に香りを楽しみたい」など、
気分や料理に合わせた日本酒選びができるようになります。
② 製法で分ける「精米歩合・アル添・火入れなど」
日本酒は「どうやって造られたか」によっても分類されます。味・香り・保存性を左右する、大事なポイントです。
● 精米歩合とは
原料米をどれだけ磨いたかを示す数値。磨けば磨くほど、雑味が減ってすっきりした味になります。
種類 | 精米歩合の目安 |
---|---|
本醸造酒・純米酒 | 約70%以下 |
吟醸酒・純米吟醸酒 | 約60%以下 |
大吟醸酒・純米大吟醸 | 約50%以下 |
● アルコール添加(アル添)の有無
- 添加なし → 純米酒系(米・米麹・水のみ)
- 添加あり → 吟醸酒・本醸造など。香りが際立ち、軽やかに仕上がる
● 火入れの有無(加熱殺菌)
- 火入れあり → 通常の日本酒。常温保存が可能
- 火入れなし → 生酒・生貯蔵酒など。フレッシュで要冷蔵
これらの製法は、味わいだけでなく保存方法や飲み頃温度にも影響を与えます。
③ 原料で分ける「酒造好適米」
日本酒は「お米」でできていますが、使われるお米には大きく2種類があります。
- 食用米:家庭で食べるお米。雑味が出やすい
- 酒造好適米:酒造り専用の品種。中心部に「心白」があり、味に深みが出る
– 代表的な酒造好適米 –
酒米 | 特徴 |
---|---|
山田錦 | 「酒米の王様」。 旨味・香り・バランス◎ |
五百万石 | 軽快でキレのある味わい。 北陸産に多い |
美山錦 | フルーティーで透明感がある。 長野や東北で使用多数 |
雄町 | コクと甘みのある個性的な酒ができる。 岡山県原産 |
酒米=日本酒の個性を決める重要な要素です
④ ラベル表記から見る「種類」
日本酒の種類を見分ける最大のヒントは、「ラベル」にあります。
ラベルには製法、原料、味の傾向などが簡潔に記載されています。
表記 | 意味 |
---|---|
純米酒 | 米・米麹・水のみで造られた酒 |
吟醸酒 | 精米歩合60%以下。華やかな香り |
大吟醸酒 | 精米歩合50%以下。高級タイプ |
生酒 | 火入れをしていない。要冷蔵。フレッシュで軽快 |
にごり酒 | 濾過せず白く濁った外観。甘口が多い |
原酒 | 加水調整なし。アルコール度数が高め |
慣れてくると、ラベルを見るだけで「これは香り系だな」「甘口かな」「すっきり系かも」と、
お酒の性格が読み取れるようになります。
⑤ 自分に合った日本酒を選ぶには?
「日本酒は難しそう」と感じる方でも、自分の好みをもとに分類を知れば、選びやすくなります。
好み | 向いているタイプ |
---|---|
フルーティーで香りが好き | 薫酒(吟醸酒・大吟醸酒) |
米のコクと旨味が好き | 醇酒(純米酒・山廃仕込み) |
軽やかで飲みやすい | 爽酒(生酒・淡麗辛口) |
濃厚で個性的な味を楽しみたい | 熟酒(古酒・貴醸酒など) |
また、製法や酒米も加味することで、「今日は山田錦の純米吟醸を冷やして」など、
シーンに応じた楽しみ方も広がります。
まとめ
日本酒の種類を知ることは、ただ“知識を増やす”だけでなく、あなた自身の好みに気づく“きっかけ”にもなります。
気になる銘柄をいくつか試して、自分だけの“推し酒”を見つけてみてください。