
目次
はじめに|「清酒」と「濁酒」ってどう違うの?
日本酒を学びはじめると必ず出てくる用語が、「清酒(せいしゅ)」と「濁酒(だくしゅ)」。
一見すると「透明なお酒」と「白く濁ったお酒」という印象がありますが、
実はこの違いには製法や法律上の分類、味わいの傾向など、さまざまなポイントがあります。
この記事では、「清酒と濁酒の違い」をやさしく解説し、
「にごり酒」「どぶろく」などの分類との関係も整理してご紹介します。
結論:清酒と濁酒の違いを一言で言うと?
「濾過しているかどうか」が最大の違いです。
分類 | 清酒(せいしゅ) | 濁酒(だくしゅ) |
---|---|---|
製法 | もろみをしっかり濾して透明にする | もろみをほとんど濾さず、米粒などが残る |
見た目 | 澄んだ透明〜薄い黄みがかった色 | 白く濁った液体 |
味わい | スッキリ、繊細、香り高い | 甘め、濃厚、どろっとした口当たり |
保存性 | 安定しており比較的長期保存可能 | 要冷蔵で劣化しやすい場合もある |
清酒とは?|「日本酒=清酒」ともいえる基本のお酒
法律上の定義
日本の酒税法では、以下の条件を満たすものが「清酒」として認められています:
- 米・米麹・水を原料にして、アルコール発酵させた後、濾過していること
- アルコール度数が22度未満であること
つまり、たとえ濁っていても「濾過」されていれば、にごり酒でも清酒に分類されることがあります。
清酒の代表例
- 吟醸酒、大吟醸酒
- 純米酒、本醸造酒
- にごり酒(※軽く濾した清酒扱い)
濁酒とは?|濾さないからこその濃厚感

濁酒(だくしゅ)は、酒母やもろみをほとんど濾さずにそのまま瓶詰めしたお酒。
米粒や麹、酵母などがそのまま残っているため、白く濁った見た目とトロッとした飲み口が特徴です。
代表的なのが「どぶろく(濁酒)」で、古来の日本酒の原型とも言えるスタイルです。
濁酒の特徴
- 見た目:真っ白でとろみが強い
- 味わい:甘口、濃厚、酸味もあり
- 発酵が生きているものも多く、発泡感があることも
「にごり酒」はどっちに分類される?

多くの方が混乱しやすいのが「にごり酒」の位置づけ。
実は、にごり酒の多くは「清酒」に分類されます。
なぜなら、「荒ごし」や「軽い濾過」を施しており、法律上は「濾している」扱いになるからです。
酒の種類 | 法的分類 | 特徴 |
---|---|---|
にごり酒 | 清酒 | 粗く濾したため白く濁っているが清酒扱い |
どぶろく | 濁酒 | 濾していない完全な濁酒。米の粒感が残る |
通常の日本酒 | 清酒 | 完全に澄んだタイプ |
製法の違いは?
[もろみ] → 圧搾(しぼり)→ 【濾すか、濾さないか?】
→ 濾す → 清酒(にごり酒を含む)
→ 濾さない → 濁酒(どぶろく)
この製法の工程が、味・見た目・保存性のすべてを左右します。
清酒・濁酒のおすすめの飲み方と料理ペアリング
酒の種類 | 飲み方 | 合う料理 |
---|---|---|
清酒 (吟醸・純米) | 冷酒〜常温、軽く燗もOK | 刺身、冷奴、天ぷらなど |
にごり酒 | 冷酒、ロック、お湯割りも可 | チーズ、ナッツ、揚げ物、スイーツ |
どぶろく(濁酒) | 冷やしてそのまま 甘酒のように温めても | 郷土料理、発酵系つまみ、漬物など |
よくある質問(Q&A)
Q. にごり酒は濁酒じゃないの?
→ 多くの場合、にごり酒は「清酒」扱いです。
濾しの度合いによって分類が変わります。
Q. どぶろくは家庭で作れる?
→ 酒税法により、自家製どぶろくの製造は原則禁止です(特別免許を除く)。
Q. 清酒と濁酒、どっちがアルコール度数が高い?
→ 一般的にはほぼ同じ(13〜16度前後)。発酵が進んでいるどぶろくの方が若干高いこともあります。
まとめ|日本酒の奥深さは“濾すかどうか”
日本酒の世界は、「濾すか、濾さないか」だけで味も見た目も大きく変わります。
清酒は澄んだキレのある酒。
濁酒は発酵の力をそのまま活かした“自然派”の味わい。
どちらもそれぞれの魅力があり、シーンや料理によって飲み分けることで、
より深く日本酒を楽しむことができます。
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