
目次
はじめに|4つの素材で生まれる日本酒
日本酒の原料は、たったの4つ。
- 米(酒米)
- 水
- 麹(米麹)
- 酵母
これだけのシンプルな素材から、無数の日本酒の味わいが生まれます。
では、なぜ同じ材料でも味が変わるのでしょうか?
それは、各素材が担う役割の違いと、造り方にあるからです。
本記事では、日本酒の原料それぞれの特徴や役割を、初心者にもわかりやすく解説します。
1. 米(酒造好適米)|味と香りのベース
● 普通のお米とどう違う?

日本酒に使われるお米は「酒造好適米(しゅぞうこうてきまい)」と呼ばれる、酒造り専用に品種改良されたお米です。
特徴 | 普通のお米 | 酒造好適米 |
---|---|---|
用途 | 食用 | 酒造専用 |
粒の大きさ | 小さめ | 大粒で割れにくい |
心白(しんぱく) | ほぼ無い | 中心に白く柔らかい部分がある |
この「心白」が、麹菌の繁殖や酵母による発酵をスムーズにしてくれます。
● 精米歩合が味に直結する
米の外側にはタンパク質や脂質が多く含まれており、これが雑味の原因に。
そのため、酒米は必要に応じて削られ(精米)、中心部だけを使います。
- 70%以下 → 本醸造・純米酒(コクのある味わい)
- 60%以下 → 吟醸酒(軽快な香り)
- 50%以下 → 大吟醸酒(繊細で華やか)
2. 水|全体の8割“縁の下の力持ち”

日本酒の約80%は水。洗米や仕込み、発酵、割り水など、ほぼ全工程で水が使われます。
● 硬水 or 軟水?味にどう影響する?
水のタイプ | 特徴 | 代表地域 |
---|---|---|
軟水 | やわらかく、ふくよかな味に | 京都(伏見)など |
硬水 | キレがあり、シャープな味に | 兵庫(灘)など |
酒蔵は、古くから良質な水源のある場所に建てられており、仕込み水の違いが地域ごとの酒の個性を形作っています。
3. 麹(米麹)|デンプンを糖に変える“酵素の工場”

「麹(こうじ)」は、蒸したお米に麹菌を繁殖させたもの。
日本酒造りに欠かせない工程で、麹が持つ酵素が、米のデンプンを糖に分解します。
これがなければ、酵母によるアルコール発酵が始まりません。
● 麹の質が味の幅を生む
麹は味の深みや、ふくらみ、香りにまで影響します。
- 甘めの酒 → 糖化力の強い麹
- 辛口の酒 → 酵素力が抑えめの麹
というように、造りたい酒質に合わせて麹造りは繊細にコントロールされます。
4. 酵母|香りとアルコールを生む微生物の力

酵母は、麹によって生まれた糖を食べてアルコールと香り成分を生み出す微生物です。
つまり、酵母がいなければ日本酒は「酒」にはなりません。
● 酵母によって香りや味が変わる!
- 協会7号・9号 → 華やかな香り(吟醸向け)
- 協会14号 → 低温でも発酵しやすい
- 野生酵母 → 複雑で個性的な味を出す
香りが高い「吟醸香(ぎんじょうこう)」を生む酵母や、しっかりしたボディをつくる酵母など、種類によって味の方向性が大きく変わります。
まとめ|シンプルな素材、無限の可能性
原料 | 主な役割 |
---|---|
米 | 味のベース・ボディ感 |
水 | 酒質のバランス・地域の個性 |
麹 | デンプンを糖へ分解(糖化) |
酵母 | アルコール発酵・香り成分の生成 |
日本酒は、たった4つの素材しか使わないからこそ、素材の選び方・造り方の違いがそのまま味の違いになる奥深いお酒です。
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