
目次
はじめに|お米を「削る」とは?
「精米(せいまい)」とは、米の外側を削り、中心部分だけを残す工程のこと。
日本酒はこの精米から始まるといっても過言ではありません。
なぜなら、日本酒の香りや味わいは、どのくらいお米を削ったか=“精米歩合”によって大きく変わるからです。
本記事では、日本酒造りにおける精米の役割や、精米歩合が味に与える影響についてやさしく解説します。
精米とは?|酒米の雑味を取り除く

お米の外側には、たんぱく質や脂質、灰分などが多く含まれています。
これらは日本酒にすると「雑味」として感じられる原因になります。
そこで、酒造りではこの外側の部分を削り取り、中心部の「心白(しんぱく)」を活かすようにします。
- 心白:デンプンを多く含む、白く不透明な中心部。麹菌が入りやすい。
- 外層部分:雑味や香りの元になる成分が多い。削ることでスッキリした味わいに。
精米歩合とは?|数字が低い=“よく削っている”

「精米歩合(せいまいぶあい)」とは、元の米を何%まで削ったかを示す数値です。
たとえば、精米歩合60%と書かれていたら、それは「元の米の40%を削って、60%を残した」という意味です。
なぜ削ると味が変わるの?
米の中心部(心白)には主にでんぷん質が多く、雑味の原因となる成分が少ないため、精米歩合が低いほど(=よく削っているほど)スッキリと洗練された味になります。
逆に、精米歩合が高い(=あまり削っていない)と、米の旨味や複雑な味わいが感じられるのが特徴です。
これは飲み手の好みや料理との相性によって選び分けるポイントになります。
精米と酒の種類の関係
日本酒のタイプは、精米歩合によって法律でおおまかに分類されています。
種類 | 精米歩合の目安 | 特徴 |
---|---|---|
普通酒 | 規定なし | 比較的安価。日常酒向き。 |
本醸造酒 | 70%以下 | 軽快ですっきりした味。少量の醸造アルコールを添加。 |
純米酒 | 規定なし | 米・米麹・水だけで造る。米の旨味が感じられる。 |
吟醸酒 | 60%以下 | 華やかな香りとすっきり感。 |
大吟醸酒 | 50%以下 | 繊細で上品、香り高い高級酒。 |
純米吟醸酒 | 60%以下 | 吟醸香がありつつ米の旨味もある。 |
純米大吟醸酒 | 50%以下 | 透明感ある味と香り。贈答や特別な日に人気。 |
精米歩合が高ければ良い酒なのか?
精米歩合が低い=たくさん削っているから「高級」というイメージがありますが、
実際には「美味しさ」と「精米歩合」は一概に比例するわけではありません。
たとえば
- 食事に合わせて旨味のある純米酒を選びたい
- 華やかな香りを楽しみたいから大吟醸にする
など、飲むシーンや好みによって最適な精米歩合は変わるのです。
まとめ|精米を知って酒選びをもっと楽しく
精米は、まさに酒造りの“入り口”であり、“味の設計図”とも言える重要な工程です。
精米歩合の数字を見れば、そのお酒の香りや味わいの傾向がある程度予測できるようになります。
日本酒のラベルには必ず「精米歩合〇〇%」という表記があります。
これからはぜひ、ラベルを手がかりに自分好みのお酒を探してみてくださいね。
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