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はじめに|夏こそ日本酒の保管に注意
日本酒は温度や光に敏感な繊細なお酒です。特に夏場は気温が上がるため、保存方法を間違えると風味や香りが損なわれてしまいます。
本記事では、夏に向けて日本酒を美味しく保つための保存のコツを解説します。常温保存はNG?冷蔵庫で保存するべき?そんな疑問をスッキリ解決します。
日本酒が劣化する原因とは?

⚫︎高温による劣化
影響:香りの消失・変質、色の変化、風味の劣化
日本酒は高温に弱く、特に25℃を超えるような環境に長時間置かれると急速に劣化します。華やかな吟醸香などは揮発しやすく、香りが飛んでしまいます。また、温度が高いと酸化や化学変化が進み、黄ばんだ色合いに変わることもあります(着色や褐変)。味わいも雑味が増し、酸味や苦味が際立ち、まろやかさやキレが失われます。
⚫︎光による劣化(紫外線)
影響:香りの分解、嫌なにおいの発生、風味の損失
直射日光や蛍光灯の紫外線が当たると、日本酒に含まれる成分が分解され、「日光臭」と呼ばれる生臭さや獣のような臭いが生じることがあります。
特に吟醸酒のような香りを楽しむタイプは光に非常に弱く、繊細な香りが壊れます。色も濃くなり、味わいにえぐみが出てくるなど、全体のバランスが崩れます。
⚫︎酸素との接触(酸化)
影響:風味の変質、酸味・苦味の増加、香味の鈍化
瓶の中に残った空気や開栓後の酸素の影響で、日本酒は徐々に酸化します。酸化が進むと、爽やかだった香りが鈍くなり、ツンとしたアルコール臭や熟成臭が強くなります。
味わいも変化し、まろやかさが薄れて、角のある酸味や苦味が目立つようになります。特に開栓後は酸化が急速に進むため、早めに飲み切るのが望ましいです。
⚫︎微生物や酵素の活性
影響:香味の崩れ、発泡・膨張・ガスの発生
特に生酒や無濾過生原酒のように火入れ処理をしていない日本酒は、瓶内に残った酵素や微生物が時間とともに活動を再開しやすいです。
発酵が進んで瓶が膨らんだり、ガスが発生して吹きこぼれることも。味わいにおいても、想定外の酸味や香味の乱れが起こることがあります。
⚫︎振動や温度変化による劣化
影響:成分の不安定化、味のムラ、酸化促進
輸送中や保存場所が不安定な場合、振動や頻繁な温度変化が起きることで酒質に悪影響が出ます。成分が不均一になったり、微細な空気の混入で酸化が進むなど、味のブレや不安定さが生じます。特に長期保存やプレゼント用の日本酒には、静かで一定温度の環境が必要です。
種類別|日本酒の保存方法
⚫︎純米酒・本醸造酒
常温でも比較的安定していますが、夏は直射日光を避けた冷暗所が理想です。開栓後は冷蔵保存し、2週間以内を目安に飲み切りましょう。
⚫︎吟醸酒・大吟醸酒
香りが命の日本酒のため、冷蔵保存が基本。特に夏場は10℃以下で保存することで、華やかな香りや繊細な味わいが長持ちします。
⚫︎生酒・無濾過生原酒
冷蔵必須です。温度が高くなると再発酵や劣化の原因になるため、要冷蔵の表示がある場合は必ず従いましょう。
開栓後の保存方法と注意点
開けたらすぐ冷蔵
一度開けた日本酒は、どの種類であっても冷蔵保存が基本です。開栓後は酸化が進むため、2週間以内を目安に飲み切るのがおすすめ。
瓶の口を清潔に保つ
キャップに付着した酒や結露によって雑菌が繁殖しやすくなります。使用後は瓶の口を清潔に保ち、キャップもよく締めて保管しましょう。
保存容器・保存場所の工夫
- 遮光瓶の使用
紫外線から日本酒を守るために重要。 - ワインセラーや冷蔵庫の野菜室
10℃前後で湿度も安定し、保存に適した環境です。 - 開栓後の瓶の密閉
酸化を防ぐためにラップや専用キャップを活用しましょう。
まとめ|夏の日本酒は「温度・光・空気」から守る
夏に日本酒を美味しく楽しむためには、温度・光・酸化の3つのリスクを避けることが何より重要です。生酒は必ず冷蔵、火入れ酒でも冷暗所を徹底し、開栓後は早めに飲み切るのが鉄則。
適切な保存方法を知って、夏でも最高の一杯を楽しみましょう!

◾️この記事を書いた人
SUZU
国際唎酒師と薬剤師の資格を持つ日本酒好きライター。日本酒はもちろん、ひれ酒をこよなく愛しています。
取得機関:https://ssi-sake.jp/
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