
目次
1. 日本酒が発泡する理由とは?
日本酒が発泡する主な理由は、「発酵によって発生する二酸化炭素」にあります。
日本酒は、米のデンプンを麹で糖に分解し、その糖を酵母がアルコールに変える「並行複発酵」という方法で作られます。この過程で酵母がアルコールとともに二酸化炭素も生成します。
通常の日本酒は搾ったあとにこの炭酸ガスを抜き、加熱(火入れ)して発酵を止めるので、泡立つことはありません。しかし、以下のような場合には炭酸が残っているか、もしくは人工的に加えられているために「発泡性」が生まれるのです。
つまり、「泡のある日本酒」は発酵の副産物か、人為的に演出されたものなのです。
2. 発泡性日本酒の主なタイプ
⚫︎瓶内二次発酵タイプ
製法:発酵途中のもろみを生の状態で瓶詰めし、瓶内で酵母が再発酵して二酸化炭素を生成。
特徴:シャンパンと同じ原理で、繊細な泡が穏やかに立ちます。微濁りで自然な甘酸っぱさがあり、華やかな味わい。
代表例:一ノ蔵「すず音」
⚫︎活性にごりタイプ
製法:もろみを粗く濾して酵母が残る濁り状態で瓶詰め。そのまま酵母が働いて瓶内で発酵を継続。
特徴:白濁した見た目と、炭酸ガスによるピチピチ感がある。甘酸っぱく力強い口当たり。
代表例:八海山 発泡にごり酒、神亀 純米活性にごり酒
⚫︎炭酸ガス注入タイプ
製法:醸造後に人工的に炭酸ガスを加える方法。
特徴:炭酸圧の調整がしやすく、安定した品質。常温保存も可能で、飲みやすい爽快感。糖分や香りで甘口・辛口に調整される。
代表例:澪(みお)スパークリング、澪DRYなどクリアタイプ
⚫︎ awa酒(澄酒)
製法:瓶内二次発酵製法ですが、にごりを極力除去し透明感にこだわった高技術タイプ。
特徴:澱が少なく透き通った見た目と、繊細な泡が楽しめます。2017年にAwa酒協会が基準を策定し、「awa酒」として定義されています。
代表例:南部美人 あわさけ スパークリング、出羽桜 AWA SAKE
3. 発泡性日本酒の魅力と楽しみ方
発泡日本酒は、その軽快さと飲みやすさから、特に若い世代や女性に人気があります。
⚫︎発泡性日本酒の魅力
- 見た目が華やか
グラスに注いだときの泡立ちや瓶のデザインがオシャレ。 - 味が親しみやすい
甘酸っぱいものやフルーティなものが多く、ワインやカクテルに近い感覚。 - アルコール度数が低め
通常の日本酒よりも低アルコール(5〜8%程度)で、飲みやすい。
⚫︎楽しみ方のコツ
- グラス選び
シャンパングラスやフルート型のグラスで香りと泡を楽しむのがおすすめ。 - 温度
しっかり冷やして(5〜10℃)飲むのが基本。常温や熱燗には不向きです。 - ペアリング
フルーツやチーズ、サラダなどの前菜との相性が抜群です。
まとめ|発泡性日本酒で日本酒の世界をもっと楽しく
発泡する日本酒は、これまでの日本酒のイメージを覆すような新しい魅力を持ったカテゴリーです。
自然発泡のやさしい泡、濁り系の濃厚な甘酸っぱさ、炭酸添加の爽快な飲み口。どれも気軽に楽しめて、日本酒ビギナーから愛好家まで広く支持されています。
まだ飲んだことがない方は、ぜひ一度試してみてください。冷蔵庫でキンと冷やして、特別な日の乾杯にもぴったりですよ。

◾️この記事を書いた人
SUZU
国際唎酒師と薬剤師の資格を持つ日本酒好きライター。日本酒はもちろん、ひれ酒をこよなく愛しています。
取得機関:https://ssi-sake.jp/
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