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はじめに|「普通酒」と「特定名称酒」って何?
日本酒のラベルに「純米酒」や「本醸造酒」などと記されているのを見たことはありませんか?
一方で、「普通酒」と書かれたものも見かけるかもしれません。
実は、日本酒は大きく分けて「普通酒」と「特定名称酒」という2つのカテゴリーに分類されています。
それぞれに定義や味わいの特徴があり、価格帯や選び方にも違いがあります。
この記事では、普通酒と特定名称酒の違いを分かりやすく解説し、日本酒選びに役立つポイントをご紹介します。
1. 普通酒とは?
「普通酒(ふつうしゅ)」とは、特定名称酒に該当しない日本酒のことを指します。
特別な精米歩合や製造基準がなく、最も一般的な日本酒の分類といえます。
主な特徴
- 精米歩合に制限がない(=米の削り方の基準がない)
- 醸造アルコールの添加量に上限がない(旨味や保存性を高めるために添加される)
- 味わいは軽快でさっぱり、クセが少ない
- 一般的に価格が手頃で、業務用や家庭用によく使われる
一升瓶で1000円台から購入できるものも多く、コスパ重視の人にはありがたい存在です。
最近では高品質な普通酒も増えており、吟味すれば美味しいお酒にも出会えます。
2. 特定名称酒とは?
「特定名称酒(とくていめいしょうしゅ)」とは、国が定めた基準(精米歩合や使用原料)を満たした日本酒です。
高品質な日本酒の代名詞で、ラベルには明確な名称が記載されています。
主な種類(計8種類)
- 【純米系】:純米酒、特別純米酒、純米吟醸酒、純米大吟醸酒
- 【本醸造系】:本醸造酒、特別本醸造酒、吟醸酒、大吟醸酒
主な特徴
- 精米歩合は70%以下(吟醸系は60%以下など)
- 醸造アルコールは添加する場合でも量が制限されている
- 味わいは米の旨味や香りが豊かで、繊細な香味バランス
- 比較的高価格帯だが、品質と表現力が高い
銘柄によって個性がはっきりしているため、自分の好みに合うものを見つけやすいのも特定名称酒の魅力です。
3. 普通酒と特定名称酒の違い一覧表
比較項目 | 普通酒 | 特定名称酒 |
---|---|---|
精米歩合 | 制限なし | 規定あり(最大70%以下など) |
醸造アルコール | 多めの添加が可能 | 添加する場合でも量に制限あり |
味わい | 軽快・シンプルな味わい | 香りや旨味が豊か、バランスのとれた味 |
価格帯 | 比較的安価、一升瓶1000円前後もあり | 高品質な分やや高め、一升瓶2000円〜が多い |
ラベル表記 | 「普通酒」など | 「純米」「吟醸」など明記される |
4. 初心者におすすめなのはどっち?
日本酒を初めて飲む方は、特定名称酒がオススメです。
理由は以下の通り
- 原料が「米と水」のみでつくられており、雑味が少ない
- 精米歩合や製法が明記されており、味の違いを理解しやすい
- 香りや旨味、酸味などがバランス良く、飲みやすい
特に「純米吟醸酒・純米大吟醸酒」は、フルーティな香りや軽やかな口当たりのものが多く、初心者に人気のスタイルです。
日本酒の種類について、もっと知りたい方はこちらの記事もオススメです。
一方で、普通酒も決して悪い選択肢ではありません。
- 日常の食卓や晩酌に気軽に取り入れやすい
- 「安くて美味しい」銘柄も増えてきている
- 食中酒として、クセのない味わいが重宝される
「まずは美味しい日本酒を知りたい」「自分の好みを探したい」という方は、数種類の特定名称酒を飲み比べてみるのもおすすめです。
まとめ|違いを知って、自分に合った日本酒を選ぼう
普通酒と特定名称酒は、製法や原料、味わい、価格帯に明確な違いがあります。
初心者の方には、まずは特定名称酒からスタートすることで、日本酒の世界をより楽しめるでしょう。
一方で、気軽に楽しめる普通酒も、選び方次第ではおいしく味わえる一本になります。
ラベルの意味や製法を知ることで、より豊かな日本酒ライフが広がります。ぜひ、今日の一杯から違いを楽しんでみてください。

◾️この記事を書いた人
SUZU
国際唎酒師と薬剤師の資格を持つ日本酒好きライター。日本酒はもちろん、ひれ酒をこよなく愛しています。
取得機関:https://ssi-sake.jp/
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